会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
文書作成日:2022/03/10


 坂本工業では年度末に向けて繁忙期となり、休日出勤をさせることがある。過重労働対策として休日出勤したとしても、別の日に休日を取ってもらおうと考えているが、振替休日と代休の違いがわからなくなった。そこで、社労士に相談することにした。

 当社では年度末に向けて生産量が増えており、休日出勤も必要になっています。過重労働を防止するために、最低限週1日の休みは確保し、休日出勤したとしてもなるべく別の日に休みを取ってもらおうと考えています。

 そうですね。繁忙期であっても週1日の休みは確保していただきたいですね。

 わかりました。別の日に休みを取ることに関して振替休日と代休がありますが、どのような違いがあるのか混同してしまいました。説明をしてもらえませんか?

 はい。まず振替休日とは、事前に休日出勤させる日とその代わりに与える休日を特定しておく取扱いを言います。つまり、出勤カレンダーの事前変更ですね。この場合、当初休日であった日は通常の労働日に変更されるため、この日に勤務したとしても休日出勤にはならないことになります。

 なるほど。事前に変更しておくことがポイントですね。ちなみに事前とは前日でも問題ないのでしょうか?

 問題ありません。また振替休日を行う場合は、以下の2点について注意が必要となります。

  1. 就業規則に休日の振替を行うことがある旨を定めておくこと
  2. 振替休日が同一週内で行われる場合、休日出勤した日について通常の賃金を支払えば、振替休日とした日については賃金を支払う必要はないが、振替休日が週をまたがった場合、週の法定労働時間を超えて勤務させた時間については時間外労働となり割増賃金の支払が必要になること
※変形労働時間制により40時間を超える週の所定労働時間を設定している場合は、その所定労働時間を超えた場合に割増賃金の支払いが必要となります。
 

 割増賃金の取扱いは複雑ですね。それでは代休とはどのような取扱いになるのでしょうか?

 代休とは、事前に振替の手続きを行うことなく休日に出勤させ、その代償として休日を与えることを言います。この場合、あらかじめ出勤カレンダーが変更されていないため、既に休日に出勤したという事実は消えません。そのため、その休日出勤の日には割増賃金の支払いが必要となります。

 例えば先週末に休日出勤させ、その代わりに今週中に休みを与えた場合、これは代休になるということですね?

 そうですね。休日に出勤した事実は消えないことから、割増賃金の支払が必要ですね。

 なるほど。会社としてはなるべく割増賃金の支払いを少なくしたいと考えますから、事前に振替の手続きを行い、振替休日としておくことが望ましいということですね。

 現場では、従業員本人に休日の希望日を聞き、業務が繁忙になり結果的にその日に振替が取れなければ振替休日の振替ということで、取得が遅れることがあります。そもそもどの日に休日を取得するのか従業員本人の同意が必要なのでしょうか。

 結論から言うと同意は必要ありませんね。会社の方でこの日に休日を取るようにと指定することができます。もちろん配慮として従業員と相談して日にちを決め、確実に取得できるようにすることが重要でしょう。過重労働の防止するためには、振替を行う日はできるだけ近接していることが望ましく、例えば今週土曜日に出勤することが確実である場合、あらかじめ同一週の勤務日と入れ替えておくといった対応がベストでしょう。

 現場任せにしないで、私の方でも振替休日の取得状況を確認していきたいと思います。

>>次回に続く



 今回は、振替休日と代休の違いを解説しましたが、確実に振替休日や代休を取り、実質的な労働時間を削減することは過重労働を防止する上でも重要となります。また実質的な労働時間を削減することについては、現行の労働時間制度の在り方を見直すことも一つとして挙げられます。例えば営業職で夕方以降に訪問がある場合、そもそもの出勤時間を朝からではなく午後1時からにするなど勤務の時間帯を後ろに遅らせることが考えられます。暦に併せて年間カレンダーを作成されている企業も多いことから、この機会に現行の労働時間制の在り方を見直すきっかけとし、労働時間の削減に向けて具体的なアクションを取ることが望まれます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 

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